ザウキンツアー 長崎 シイラ・フィッシング Vo.2
誰でもそうだ。
良い体験は、忘れられない。
そしてまた、それを経験したいと願うモノ。
釣り人ならば尚更だ。

とうとう我慢することができなかった。
それまで長い雨の季節が終わり、海が落ち着いてから出船する僕らは、
夏突入の合図、梅雨明け宣言を聞かぬまま海へ出た。
とにかく去年のこのシーズンが終わってから
頭の中で何度も繰り返される美しいあのシーンを早く現実にしたい。
疾風のごとく走る蒼い閃光。
躍動する黄金の塊。
そのすべてをまた自らのふところに抱こう。

港へと走る海岸通りから望む海は、
まるでアスファルトが塗られているように静かだ。
「いい釣りができるね」
車を降りてからもいつもの動作、いつもの手順で準備をし、
一年間溜めてきた期待をそっと隠して港を出る。

ZAN 投入

今回、僕のタックルはCB ONEからのNEWブランド “GaRu”からリリースされた
オフショアキャスティングロッド、ZANシリーズ。
近海のマグロをターゲットに開発されたと聞いていたのだが、
実際手にとってミクロシリーズのアクションを見ると
曲がる曲がる。
これは、これは、今までにない感覚だ。
釣具屋で振られて驚かれた方々も多いのではなかろうか。
いい意味で面白そう。
しかし釣果の半分を超えるメーター30以上のシイラに対して、
この曲がりは主導権を握れるのか、ちょっとした不安もある。
パンパンの力みなぎるツナロッドで挑戦している人のほうが多いくらいだからだ。
普段、この手のアクションに慣れている僕にとっては
思わずニヤけてしまう。
これで獲ろうではないか。

パヤオはどうだ

シイラと僕らの待ち合わせ場所、パヤオに着く。
来るのが早すぎたのか?
どうもアチラは待ち合わせ時間に遅れているみたいだ。
2、3、それらを回るが一向に挨拶なしが続く。

浮遊物もドラドポッパーでチェックを入れるが、
まったく無反応。
居ないのか? ちょっと沈めて聞いてみよう。
ルアーをGaRuの“OZMA”にチェンジ。

着水後、水平フォールさせZANのソフトティップを活かしトゥイッチング。
手首を僅かに返すだけでティップが弾き軽やかにヒラを打つ。
2発目を入れた瞬間、ドラグが鳴く。
居るじゃない!
しかも一発ではない、連発だ。
お客さんを差し置いて、ひとり最後尾、トモで遊んでしまう。
いかんいかん。
船長と話し、少し沖合いに出てもらう。

海と若者

海の色が濃くなり始めた。
日本海側に抜ける黒潮の分流にあたったようだ。
こうなると僕らのパヤオに対する期待も一気に膨れ上がる。
さあ、ファーストコンタクトが肝心だ。
それぞれの思いを託したルアーがパヤオに向けて飛んでいく。
「来たぞぉ!」船長のしゃがれた声が飛ぶ。
スパァァァー!、パンッ!
ウォータープレッシャーを蹴ちらしラインが宙に張る。
今回初参加、黒岩君がグッドサイズを掛ける。
初めての感覚に顔がこわばる。
彼のロッドはCB ONE705M。
僕も使っているロッドなので、
ベンドカーブを見るとまだまだ余裕があるのだが、
彼にとって、その力強い引きは初めての感覚。
少々、手間取るがなんとかランディング。
本人のみならず、船上中が満面の笑みになる。





走れ!

目の前のパヤオを中心として辺り一面、シイラだらけだ。
若者に先を越され焦るベテラン勢。
しかし、その状況に対応する速さは流石だ。
活性が上がってきたと見るや水面にスプラッシュ。
ズドーン!
ハデな音を立てて船前方で岩田さんのルアーをひったくった。
それと同時に船上にドラグ音が鳴り響く。
シイラが走る!
岩田さんも走る!
あっという間にトモでやり取り

CB ONE76MH-Tiが綺麗な弧を描く。
デカイ奴はハイスピードランが終わると、今度は下に突っ込む。
耐える、耐える。
じっくりとやり取りを楽しむ。
しかし、隙は与えない。
掛け続けられたプレッシャーに、シイラは観念するしかない。

「あはは、重いよ、重い!」
「早く写真撮ってちょうだいな!あはは・・・」
なぜだろう。
人はとてつもなく重いモノを持つと笑いが出る。
納得サイズを手にした喜びは、それ以上だ。
好ファイターを相手にした直後に、
シイラを持ってポーズを取るんだから
釣り人も大変だ。
熱くなれ!

この釣りを一番体験している宮嵜君。
経験からくる余裕は数々のグッドサイズを引きこむ。
キャストからアクション、掛けてからの対処からランディングまで
実にスムーズだ。

それも愛竿、CB ONE84XHという
一見、シイラにはオーバースペックのようなツナロッドを
操る強靭な肉体があってこそだ。
その証拠に彼は15kgを超えるシイラでも
簡単に片手で持ち上げる。
一切の主導権を相手に与えることなく
シイラが体力を使い切る前にキャッチする。
強引グ・マイ・フィッシング。
   

すべてはシナリオ通りか!

釣れはするが、メーターサイズぐらいで、
いまいち写真に撮るサイズが出ない小林君。
パヤオは終盤、もう、あとは少ない。
あとは本人がデカイのを釣りたいか、
数を釣ったからそれで納得かのどちらかで想い出が変わる。
先ほどデカイ奴をバラシた。
誘い方は間違っていない。
彼は炎天下、もくもくとキャストを続ける。
勿論、釣神もだまっちゃいない。
炸裂音とともに船上が騒がしくなる。
ヤジにも似た激が飛ぶ。
半日キャストを続けたパンパンの腕はかろうじてロッドを支える。
CB ONE76MHが直下に突き刺さる。
ここを耐えれば歓喜が彼を包み込む。
  
身長180cmのふたりが片手で持ち上げれば
個体が小さく見えるのが残念だが
まぎれもなくグッドサイズ。
それが釣れなくて周りをヤキモキさせたが、
すべてはシナリオ通りだそうだ。

5人が半日やって、合計50本
うち140cmOverが10本、他メーター超えが20本
去年を上回る結果が出なかったのは残念だが
黒潮の豊かな恵みに誘われて
僕らの夏はまだまだ続く。


Tackle DATA
ROD > GaRu ZAN 72-micro
     CB ONE 84XH
     CB ONE 76MH-Ti
     CB ONE 76MH
     CB ONE 705M

LURE > GaRu JAWTOO
      GaRu OZMA
      GaRu GURM-60g & 40g
      CODE EZ-POP
      TIDEPOOL AGOPEN-50g

ZAN インプレッション

前記したように、今回僕がメインに使ったロッドはGaRu ZAN-72micro。
ムチのようにしなるキャスティングロッドだ。
曲がるロッド=軟いロッド=弱いロッドなんて思っていませんか
この曲がるロッド、実にドラグMAXが6kgというハードクラスの数値を叩き出す。

画像は150cmOverを掛けている時のロッドだ。
曲がっているけどベリーがしっかりと残っているのがお判りになるだろう。
(ちなみにアラビア人ではない)
周りの人の目では大変そうに見えるらしい。
それぐらいに曲がっている。
だけどやってる本人はこの状態で魚に負けていると感じていない。
主導権は確実にこちら側と認識できるぐらい余裕があるのだ。
そのおかげか、
これだけ釣って、疲れがあまりないのだ。
これから毎週この釣りをする僕にとってはこれも有り難い。
また、僅かな手首の返しでポッパーのストップ&スプラシュや
OZMAやGURMなどのトゥイッチングを多様する釣りには
このうえなく使い易い。
ファーストよりテーパーのロッドをお使いの方は、
最初、キャスティングに苦労するかも知れないが
慣れてしまえば問題はないだろう。

今回、ナイロン16lbとPE3号を使ったがどちらもトラブルはなく
快適な遊びの道具として仕上がっている。
掛けてからこのロッドは本領を発揮する。

Keep the our Fish !